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機能性ディスペプシア(FD)

Medical

機能性ディスペプシア(FD)

 

概要

機能性ディスペプシア(Functional dyspepsia: FD)とは上部消化管内視鏡などの検査で潰瘍やがんといった器質的な疾患を認めないにも関わらず、胃や十二指腸由来と思われる上腹部症状がある疾患です。
ディスペプシアという言葉は耳慣れない言葉だと思いますが、元々は「消化不良」を意味するギリシャ語が語源です。
現在、機能性ディスペプシアの罹患率は15%という報告もあり、罹患率が高い疾患です。生命に影響のない疾患ですが生活の質(QOL)に影響するため、適切な治療を必要とする疾患です。

機能性ディスペプシアの原因は明らかにはなっていませんが、精神的なストレスや消化管運動異常、知覚過敏等が原因の一つと考えられています。
最近では細菌やウイルスによる感染性腸炎からの治癒後に機能性ディスペプシアが発症していることも報告されています。
また、ピロリ菌の除菌によって前述の症状が改善する場合はピロリ菌関連ディスペプシアとして、機能性ディスペプシアから切り分けられるようになってきています。

 

症状と診断

2016年に発表された国際的な診断基準であるRomeⅣ基準では機能性ディスペプシアは症状の原因となりそうな器質的な疾患ではないにも関わらず、胃・十二指腸領域由来と考えられる4つの症状、すなわち、心窩部痛(みぞおち辺りの痛み)心窩部灼熱感(みぞおち辺りの焼ける感じ)食後の胃もたれ早期飽満感(食事開始後すぐに胃が充満した感じとなり、食事を最後まで摂取できない状態)のうち、1つ以上の症状があること、これらの症状は辛いと感じるものであること、すなわち、生活に影響するものであること。
更にその症状は6か月以上前から出現し、週に数回程度、症状があることが3ヶ月は持続する状態と定義されています(表1)。
加えて、心窩部痛・心窩部灼熱感のいずれかが存在する病型を心窩部痛症候群(Epigastric Pain Syndrome: EPS)、辛いと感じる食後の胃もたれ・早期飽満感のいずれかが存在する場合を食後愁訴症候群(Postprandial Distress Syndrome: PDS)として2つの病型に分類されています。
なお、この2つの病型が重複することもあります。

 

表1.RomeIV基準による機能性ディスペプシアの診断基準と病型分類

機能性ディスペプシア(FD)の診断基準

下記の症状のいずれかが診断の少なくとも6か月以上前に始まり、かつ直近の3か月間に上記症状がある。

 

  1. つらいと感じる心窩部痛
  2. つらいと感じる心窩部灼熱感
  3. つらいと感じる食後のもたれ感
  4. つらいと感じる早期飽満

 

及び症状を説明しうる器質的疾患はない。

 

 

食後愁訴症候群(PDS)の診断基準

少なくとも週に3日、次の1-2のいずれか1つか2つを満たす。

 

  1. つらいと感じる食後のもたれ感
  2. つらいと感じる早期飽満感

 

 

心窩部痛症候群(EPS)の診断基準

少なくとも週に1日、次の1-2のいずれか1つか2つを満たす。

 

  1. つらいと感じる心窩部痛
  2. つらいと感じる心窩部灼熱感

 

 

 

治療

機能性ディスペプシアの治療においてプロトンポンプ阻害薬(PPI)に代表される酸分泌抑制薬(胃酸を抑える薬)や消化管運動改善薬(胃の動きをよくする薬)が用いられることが多いです。漢方薬である六君子湯は機能性ディスペプシア症状の改善効果が報告されています。

2013年6月に世界で初めて機能性ディスペプシアへの適応をもつ薬剤として、日本で開発されたアコチアミド(Acotiamide 商品名:アコファイド)が発売されました。アコチアミドは機能性ディスペプシアの中でも食後愁訴症候群の患者さんの食後の胃もたれや早期飽満感、更には胃のあたりが張る症状に有効です。

ピロリ菌に感染している場合はピロリ菌関連ディスペプシアの可能性を考え、ピロリ菌の除菌療法を行います。

 

 

生活上の注意

機能性ディスペプシアの患者さんは規則正しい生活、十分な睡眠が推奨されます。様々なストレスが発症や症状の悪化の原因となりますので、ストレスは貯めないことが肝要です。また、食事にも留意が必要であり、具体的には油物の多い食事、香辛料等の刺激物は症状を悪化させることが多いです。これらを大量に摂取したり夜間に摂取したりすることは避けることが望ましいです。