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その他の疾患

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肛門ポリープ

①ポリープの手術方法 ②ポリープの手術方法

肛門ポリープは、肛門乳頭(肛門小窩の間にある部位)が慢性的な炎症により肥大化したものを指します。痔核とは異なり、白っぽく硬めで皮膚に近い色合いをしており、裂肛や肛門狭窄を伴っていることも多く、脱肛のように大きくなることもあります。

症状・原因

  • 小さい場合は無症状のこともある
  • 慢性的な裂肛や肛門狭窄に伴い、違和感、出血、痛み、肛門からの脱出(脱肛様)を伴うことがある
  • 原因の多くは肛門の慢性的な炎症や機械的刺激(硬い便、排便習慣の異常)によるもの

手術の適応

肛門ポリープが小さく、症状がなければ切除の必要はありません。 ただし、以下の場合は手術の適応になります。

  • ポリープが大きくなり、脱出してくる
  • 慢性裂肛や肛門狭窄を伴っている
  • 排便時に痛みや出血などの症状がある

手術方法

肛門狭窄や裂肛を伴わない
ポリープの場合

当院では、ほとんどの症例を日帰りで対応しています。

  • ジャックナイフ体位で施術
  • 局所麻酔を肛門周囲およびポリープ根部に注射
  • ケリー鉗子でポリープを把持し、根部を絹糸で結紮
  • 余剰部分を切除(術中の止血処理も行います)

※切除部の大きさや出血の程度により、軟膏やガーゼによる処置を行います。

裂肛・肛門狭窄を伴う
ポリープの場合

肛門狭窄形成術(SSG)や裂肛に対する手術を併用することがあります。

  • 慢性裂肛がある場合:裂肛の治療(側方内括約筋切開など)を同時に実施
  • 狭窄がある場合:狭窄部位の形成術を実施し、排便のスムーズ化を図る

最後に

肛門ポリープは比較的よく見られる良性疾患ですが、裂肛や肛門狭窄といった他の肛門疾患のサインである場合があります。放置せず、気になる症状があれば早めにご相談ください。

直腸脱

直腸脱

直腸脱は脱肛の一種で、完全直腸脱と不完全直腸脱に分類されます。一般的に「直腸脱」といえば完全直腸脱を指し、これは直腸の全層が裏返しになって肛門の外に脱出する状態を意味します。不完全直腸脱は直腸内での弛みや重積を指し、直腸重積や不顕性直腸粘膜脱とも呼ばれます。症状や見た目がいぼ痔と類似しているため、誤診されることもあります。

原因

直腸脱は高齢者、特に女性に多く見られ、加齢や出産に伴う骨盤底筋・肛門括約筋の脆弱化が大きく関与しています。若年者では排便習慣の異常や精神疾患などが背景にある場合もあります。

症状

  • 排便時や立ち上がった際に直腸が脱出する
  • 脱出部分は10cm以上になることも
  • 出血、疼痛、便失禁、排便困難
  • 脱出による下腹部の違和感や排尿障害
  • 脱出が戻らなくなることもある
  • 同時に骨盤臓器脱(子宮脱、膀胱脱、直腸瘤など)を伴うことも

治療法

基本的に手術による治療が必要です。

保存的治療

  • 便通改善
  • バイオフィードバック療法
  • 骨盤底筋体操(症状の緩和には効果がありますが、根本的な治療にはなりません。)

手術療法

50種類以上の術式が報告されていますが、当院では以下の方法を主に採用しています。

経会陰(経肛門)アプローチ
  • Gant-三輪法:脱出が2~3cm程度の軽度の場合に有効
  • MuRAL法、Delorme法:腰椎麻酔または局所麻酔で施行可能。低侵襲だが再発率がやや高い
腹式アプローチ
  • 直腸固定術:直腸をつり上げて固定。腹腔鏡手術で侵襲を抑えつつ、再発率は低い
  • 全身麻酔が必要なため、全身状態の評価が重要

術式の選択は、

  1. 症状の程度
  2. 脱出の重症度
  3. 全身の健康状態

に基づいて判断されます。

おわりに

直腸脱は高齢女性に多く、放置すると生活の質(QOL)を大きく損ないます。手術により脱出が改善すれば、排便や活動がしやすくなり、QOLが大きく向上します。女性では骨盤臓器脱を合併していることもあり、正確な診断と総合的な治療計画が重要です。症状に気づいたら、早めに専門医の診察を受けることをおすすめします。

直腸粘膜脱

直腸粘膜脱

直腸粘膜脱とは、直腸の内側を覆っている粘膜の一部が肛門の外に脱出してくる状態を指します。直腸全体が脱出する「完全直腸脱」とは異なり、粘膜だけが肛門外に突出するため、「不完全直腸脱」とも呼ばれます。見た目はいぼ痔(内痔核)と似ていることがあり、誤診されやすい病態です。

主な原因

直腸粘膜脱の原因として、以下のような要因が挙げられます。

  • 排便時の強いいきみ(慢性的な便秘)
  • 加齢に伴う支持組織の緩み
  • 骨盤底筋群や肛門括約筋の筋力低下
  • 出産や手術などによる骨盤底の損傷
  • 肥満や前立腺肥大などの腹圧上昇をきたす状態

特に高齢の女性に多くみられますが、小児にも発症することがあります。

よく見られる症状

  • 排便時に肛門から何かが出てくる感覚
  • 脱出した粘膜からの出血や分泌物
  • 残便感や排便困難
  • 粘膜脱が進行すると、日常生活中にも脱出するようになる
  • 粘膜がはさまって腫れたり、炎症を起こしたりすることも

診断方法

  • 視診・触診:排便時に観察することで確認できる場合が多い
  • 肛門鏡検査:内痔核や直腸粘膜脱との鑑別に有用
  • 排便造影検査(defecography):直腸の動きや脱出の程度を評価
  • 大腸内視鏡検査:他の病気(大腸がんや炎症性疾患)との鑑別

治療方法

保存的治療
  • 便通の改善:食物繊維の摂取、水分補給、緩下剤の使用
  • 骨盤底筋体操(肛門体操)
  • バイオフィードバック療法:排便時の筋肉の使い方を訓練

※軽度であればこれらの治療で改善する場合があります。

手術療法

保存療法で改善が見られない、または症状が進行している場合は手術を検討します。

  • MuRAL法(多段階痔核直腸粘膜連続縫縮法):直腸粘膜の脱出に対して効果があり、当院でも実施。内痔核との合併がある場合にも適応される。
  • Delorme法:脱出した粘膜を切除して筋層を縫縮する方法。再発率が比較的低く、再発予防にも有効。
  • Gant-三輪法:比較的簡便な経肛門的手術。脱出が軽度であれば適応。

他疾患との関係

直腸粘膜脱は、以下の疾患と合併することがあります。

  • 内痔核
  • 直腸瘤
  • 直腸脱(完全型)
  • 肛門括約筋不全(便失禁)
  • 骨盤臓器脱(子宮脱や膀胱脱)

最後に

直腸粘膜脱は生活の質に影響を及ぼす疾患ですが、適切な診断と治療によって症状は改善可能です。肛門からの脱出感や出血、違和感がある場合は、早めに専門医の診察を受けることをおすすめします。

肛門尖圭コンジローマ

肛門尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)6型および11型の感染によって生じる、ウイルス性のいぼ(乳頭腫)です。肛門のまわりや肛門内に、小さな突起物ができるのが特徴で、鶏冠(とさか)状またはカリフラワー状の形をしています。性感染症(STD)の一つで、無症状で進行することもあるため、気づかないうちに拡大することがあります。

主な症状

  • 肛門周囲や肛門内にできる小さな突起物(カリフラワー状や鶏冠状)
  • かゆみ、違和感、湿った感じ
  • 出血や痛み(大きくなった場合)
  • 排便時の違和感

初期段階では無症状であることが多く、進行してから気づくケースも珍しくありません。

原因と感染経路

HPVに感染することで発症します。主な感染経路は以下の通りです。

  • 性的接触(肛門性交を含む)
  • 皮膚や粘膜の直接接触
  • 公衆浴場や温水洗浄便座など、まれな間接接触

潜伏期間は3週間から8か月(平均2.8か月)と長く、いつ感染したか特定できない場合も多いです。パートナー間で感染するリスクが高いため、診断された際はパートナーの検査・治療も重要です。また、HIVや梅毒など他の性感染症の合併も考慮し、検査を行います。

診断方法

  • 視診・触診:特徴的な形状のいぼを確認
  • アノスコピー:肛門内病変の確認
  • 病理検査(生検):悪性病変との鑑別
  • HPV検査:ウイルスの型を確認

治療方法

病変の大きさや部位に応じて、以下のような治療法が選択されます。

外科的切除
  • 小範囲であれば局所麻酔で切除可能
  • 肛門内や広範囲の場合は腰椎麻酔での切除
焼灼療法
  • 電気焼灼やレーザー治療により病変を除去
外用療法
  • イミキモド(ベセルナクリーム):週3回塗布、免疫応答を高めてウイルス排除を促進
  • 肛門内には適応外(刺激が強いため)

※外用薬で改善しない場合や再発例では、切除術が必要となることがあります。

再発と経過観察

治療後もHPVは体内に残ることがあるため、再発のリスクがあります。再発防止のため、次の点が重要です。

  • 定期的な経過観察
  • パートナーの治療と同時進行
  • 免疫力の維持

予防のポイント

  • HPVワクチン接種(特に若年層に有効)
  • コンドームの使用
  • 不特定多数との性的接触を避ける

最後に

肛門尖圭コンジローマは、早期発見と適切な治療で再発や悪化を防ぐことができます。当院ではプライバシーに配慮した診療体制を整えています。気になる症状がある場合は、恥ずかしがらずにご相談ください。

肛門ヘルペス・帯状疱疹

肛門周囲に痛みや発疹、水ぶくれを引き起こす疾患として、「肛門ヘルペス」と「帯状疱疹」があります。どちらもウイルスによる感染症で、見た目や症状が似ている場合がありますが、原因ウイルスや治療法が異なります。

肛門ヘルペスについて

原因

肛門ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(Herpes Simplex Virus:HSV)1型または2型によって引き起こされます。感染例の多くはHSV-2型で、主に性的接触(アナルセックスを含む)を介して感染します。性感染症(STD)のひとつです。

症状
  • 肛門やその周囲のかゆみ、違和感、ピリピリとした痛み
  • 小さな水ぶくれが集まってできる発疹、水疱が破れてびらんになることも
  • 発熱や倦怠感などの全身症状を伴うことがある
  • 初感染時は症状が強く、再発時は軽度であることが多い
  • HSV-2は再発を繰り返しやすい特徴がある
診断と治療
  • 問診・視診に加えて、必要に応じてウイルス検査(PCRなど)を行う
  • 抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビルなど)を使用
  • 外用薬とともに、再発を繰り返す場合は内服による抑制療法を検討
  • 痛みに対しては鎮痛薬を併用する
注意点
  • 無症状時にも感染力があり、パートナーへの感染に注意
  • コンドーム使用で感染リスクを軽減
  • パートナーの検査・治療も重要

帯状疱疹について

原因

帯状疱疹は、水痘帯状疱疹ウイルス(Varicella Zoster Virus:VZV)によって引き起こされます。過去に水ぼうそうにかかったことのある人の体内にウイルスが潜伏し、加齢やストレス、免疫力の低下などをきっかけに再活性化して発症します。

症状
  • 一側性(片側)の肛門周囲に痛み、赤い発疹、水ぶくれ
  • 強い神経痛を伴うことが多い
  • 発疹より先に痛みだけが出現することもあり、診断が遅れる原因になる
診断と治療
  • 皮膚症状や痛みの分布、問診から診断します
  • 抗ウイルス薬(バラシクロビル、ファムシクロビルなど)を使用
  • 鎮痛薬や、必要に応じて神経痛の治療薬を併用
  • 重症例では入院加療が必要になることも
注意点
  • 帯状疱疹ワクチンによる予防が可能
  • 高齢者や免疫力が低下している人に多く発症
  • 発疹消失後も神経痛が長く残る「帯状疱疹後神経痛(PHN)」に注意

まとめ

肛門周囲の水ぶくれや痛みは、肛門ヘルペスや帯状疱疹の可能性があります。どちらも早期の診断と治療が重要で、放置すると痛みが長引いたり再発を繰り返したりする恐れがあります。気になる症状がある方は、自己判断せず専門の医療機関を受診しましょう。当院では、プライバシーに配慮した丁寧な診療を行っております。どうぞお気軽にご相談ください。

肛門部周囲炎

肛門部周囲炎とは、肛門の周囲に炎症が起こる疾患の総称です。赤みや腫れ、痛み、かゆみ、分泌物などの症状が現れ、日常生活に支障をきたすこともあります。原因は多岐にわたり、細菌感染、ウイルス感染、真菌(カビ)感染、皮膚疾患、アレルギー反応などが含まれます。

主な原因

  • 細菌感染:黄色ブドウ球菌や連鎖球菌などによる感染。肛門裂傷(切れ痔)や湿潤部位からの侵入が原因となることがある。
  • ウイルス感染:単純ヘルペスウイルスや水痘帯状疱疹ウイルスによる感染(肛門ヘルペス・帯状疱疹)。
  • 真菌感染:カンジダなどの真菌による感染。抗生物質の長期使用や免疫力低下が関係。
  • アレルギー・接触性皮膚炎:トイレットペーパー、洗浄剤、軟膏、衣類などによる刺激。
  • 皮膚疾患:アトピー性皮膚炎や乾癬などが肛門周囲に現れることも。
  • 肛門周囲の衛生不良や過度な清潔志向:過剰な洗浄により皮膚のバリア機能が低下する場合がある。

よく見られる症状

  • 肛門周囲の赤み、腫れ
  • 灼熱感やかゆみ
  • 排便時や座った際の痛み
  • 分泌物や膿(細菌感染時)
  • 皮膚のびらんや亀裂

診断方法

  • 視診・問診:皮膚の状態や症状の経過を確認
  • 培養検査:細菌・真菌・ウイルスの特定
  • 血液検査:重症度や炎症の有無を確認
  • アレルギー検査:接触性皮膚炎が疑われる場合

治療方法

原因に応じた治療が基本です。

  • 細菌感染:抗生物質(内服・外用)
  • ウイルス感染:抗ウイルス薬(バラシクロビル、アシクロビルなど)
  • 真菌感染:抗真菌薬(ミコナゾール、クロトリマゾールなど)
  • アレルギー性皮膚炎:ステロイド軟膏、抗ヒスタミン薬の使用、原因物質の除去
  • 皮膚ケア:保湿剤の使用、過度な洗浄の回避

予防と生活上の注意点

  • 肛門周囲を清潔に保つ(洗浄はやさしく)
  • 刺激の強い石けんやウェットティッシュの使用を避ける
  • 肌にやさしい綿素材の下着を選ぶ
  • 長時間の座位を避け、通気性を保つ
  • 症状が改善しない場合は早めに専門医を受診

最後に

肛門部周囲炎は比較的よく見られる病気ですが、症状の原因はさまざまであり、正確な診断とそれに基づいた治療が重要です。再発を繰り返す場合や、痛み・分泌物が強い場合には、早期に専門医による診察を受けることをおすすめします。当院では、患者様のプライバシーに配慮しながら、丁寧で的確な治療を心がけています。

膿皮症(のうひしょう)

膿皮症は、皮膚に膿をもったしこりや水ぶくれ、潰瘍ができる慢性の化膿性疾患で、主に肛門部や臀部に生じるタイプでは「臀部膿皮症」「肛門部膿皮症」とも呼ばれます。肛門周囲や臀部のアポクリン汗腺(特に毛の多い部位)に感染が起こることで発症します。比較的まれな疾患ですが、若い男性に多く、日常生活に支障をきたすケースもあります。

主な原因

膿皮症の発症には以下の要因が関与しています。

  • アポクリン汗腺の閉塞・炎症
  • 黄色ブドウ球菌や溶連菌などの細菌感染
  • 長時間の圧迫や摩擦(椅子に長く座る、きつい衣類など)
  • 喫煙・肥満・糖尿病などの生活習慣病
  • 遺伝的素因や免疫機能の低下

よく見られる症状

  • 肛門部や臀部に膿を伴う赤く硬いしこり(硬結)や結節ができる
  • 皮下で膿の通り道(瘻孔)が複雑に形成され、慢性的に膿が排出される
  • 多数の二次口(膿の出口)が皮膚表面に見られる
  • 悪臭を伴うこともある
  • 進行すると痛み・発熱・皮膚潰瘍が出現する

痔瘻との鑑別が必要であり、診断には専門的な知識が求められます。

診断方法

  • 視診・触診:皮膚表面の状態や膿の排出状態を確認
  • エコー検査:皮下の瘻孔形成の状態を把握
  • 培養検査:原因菌の特定
  • 痔瘻との鑑別診断:直腸指診や内視鏡で痔瘻の有無を確認

治療方法

外科的治療
  • 感染・硬結・瘻孔を含む病変部を切除
  • 軽症の場合は小範囲の切除で済みますが、重症例では広範囲の皮膚切除が必要
  • 大きな皮膚欠損が生じた場合は、皮膚移植や皮弁形成術を行うことがある
保存的治療(補助的)
  • 抗生物質の使用(内服・外用)
  • 痛みに対する鎮痛薬
  • 傷口の清潔・ガーゼ交換・消毒

生活上の注意点

  • 患部を清潔に保つ(入浴・シャワー)
  • 通気性の良い衣類の着用
  • 長時間の座位や摩擦を避ける
  • 禁煙・減量などの生活習慣の見直し

当院での対応

当院では膿皮症に対し、確実な診断と適切な手術治療を行っております。難治性で繰り返す場合も、専門的な手術により根治を目指します。症状が気になる方や、長引く肛門部・臀部のしこり・膿の排出がある場合は、ぜひお早めにご相談ください。

毛巣洞(もうそうどう)

毛巣洞は、お尻の割れ目(尾てい骨付近)の皮膚の下に小さなトンネルや袋状の構造ができる病気で、そこに毛や皮脂などがたまり、炎症や感染を引き起こすことがあります。若年成人の男性に多くみられます。

発症の原因

毛巣洞は先天性と考えられていましたが、現在では以下のような後天的な要因が関与すると考えられています。

  • お尻の割れ目に生えた毛が皮膚に刺さる
  • 長時間座る生活習慣(学生、ドライバーなど)
  • 発汗や皮脂の分泌が多い
  • タイトな衣類による摩擦

このような要因によって皮膚の中に毛が入り込み、異物反応や感染を引き起こすことで毛巣洞が形成されます。

主な症状

  • 尾てい骨周囲のしこりや腫れ
  • 膿や血が出る穴(瘻孔)ができる
  • 痛みや発赤、発熱を伴うことも
  • 慢性化すると複数の穴ができたり、再発を繰り返す

症状が進行する前に診断・治療を行うことが重要です。

診断方法

診察によって皮膚の状態や膿の有無、瘻孔の位置を確認します。必要に応じて超音波検査やMRIで病巣の広がりを確認することもあります。

治療方法

毛巣洞の治療は、症状の重症度や再発の有無に応じて選択されます。

切開排膿

急性の炎症や膿がたまっている場合に行う応急処置

根治手術(瘻孔切除術)

病変部を切除し、再発を防ぐ

  • 開放創法(創を縫わずに自然に治す。炎症が強いとき)
  • 一次縫合法(創を縫い合わせて早期治癒を目指す。範囲が狭く、炎症が無いとき)
  • フラップ法(周囲の皮膚を移動させて縫合。皮膚欠損の大きい場合)

当院では再発率が低く、日常生活への支障を最小限に抑える術式を選択しています。

術後の注意点と予防

  • 手術後は創部を清潔に保つことが重要
  • 長時間の座位を避け、圧迫を最小限に
  • 毛の処理(脱毛)を行うことで再発リスクを軽減
  • 通院による経過観察と指導を継続

まとめ

毛巣洞は痛みや不快感を伴い、再発しやすい疾患ですが、適切な診断と治療によって根治が可能です。お尻の痛みや腫れ、膿が出るといった症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。当院では患者様一人ひとりに合わせた治療をご提案いたします。

肛門クローン病

クローン病は、口から肛門までの消化管のどこにでも炎症が起きる慢性の病気です。特に若い方に多くみられます。
この病気が肛門に現れたものを「肛門クローン病(Crohn病肛門病変)」と呼びます。患者様の約20〜40%にみられ、しばしば治りにくいのが特徴です。
肛門の症状が先に出て、後からクローン病が見つかることもあるため、繰り返す痔ろうや肛門周囲の腫れ・膿(うみ)などがある方は注意が必要です。

肛門にあらわれる主な症状

肛門クローン病には次のような症状があります。

  • 複雑な痔ろう(複数の穴や深いトンネル状の病変)
  • 肛門周囲膿瘍(肛門のまわりに膿がたまる)
  • 深い肛門潰瘍(ただれ)
  • 肛門がせまくなる(狭窄)
  • 肛門の皮膚がたるむ(皮垂)
  • 裂肛(切れ痔)が変わった場所にできる

悪化すると、直腸や会陰(肛門の周辺)にも広がることがあり、強い痛みや排便困難、生活の質の低下(QOL)の原因となります。

診断の流れ

  • 視診・触診・肛門鏡検査:潰瘍や膿の状態を確認
  • MRI・エコー検査:痔ろうの深さや範囲を調べる
  • 大腸カメラ・小腸検査:腸内の炎症の広がりを確認
  • 血液検査・組織検査:炎症や栄養状態のチェック

治療について

保存的治療(手術をしない方法)
  • 抗菌薬:感染を抑える
  • 5-ASAや免疫調節薬:炎症を和らげる
  • 抗TNFα抗体薬(インフリキシマブなど):痔ろうの治療効果もあり
  • アロフィセル(再生医療製剤):痔ろうへの新しい治療選択肢
  • 栄養療法:腸を休めて炎症を鎮める
外科的治療(症状に応じて選択)

    切開・排膿術:膿がたまったとき

  • シートン法:ゴム糸を使って排膿を継続、筋肉の損傷を避ける方法
  • 痔ろう切除術や肛門形成術
  • ストーマ(人工肛門)造設:重症の場合やQOL改善を目的に

当院での取り組み

当院では、肛門クローン病の診断から保存的・外科的治療まで対応しています。
重症の腸の病変に対しては、IBD専門の病院(大阪公立大学、大阪急性期医療センター、兵庫医科大学など)と連携し、患者様にとって最適な医療を提供しています。
患者様一人ひとりに合わせて、再発予防・QOL改善・長期フォローを重視した治療を行っています。

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