
術前・術後
術前・術後
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予約時間前に受付(約15~30分前)。
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更衣室にて着替え(検査着に着替えます)。
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手術室に入室。
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手術体位(ジャックナイフ体位:腹臥位折り畳みのような体位)になります。
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静脈麻酔の方は点滴を行い、麻酔薬を点滴します。
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テープでお尻を広げます。
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患部に局所麻酔をし、手術開始。
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手術終了。
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麻酔が覚めたら着替えをします。
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術後の説明し、帰宅。
当院で入院できないため、連携病院である阪和記念病院に入院していただき、手術は院長である村山が執刀します。入院中は阪和記念病院の外科医師に診ていただき、退院後は当院に通院していただきます。
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阪和記念病院に午前10時頃入院。
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手術開始前に点滴。昼食はなし、水分は可。
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1例目の方は13時30分ごろ手術室入室。2例目の方は1例目終了後(15時前後)入室。
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腰椎麻酔施行(場合により局所麻酔や静脈麻酔施行)。
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手術体位(ジャックナイフ体位:腹臥位折り畳みのような体位)になり、テープでお尻を広げます。
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手術開始、手術終了(所要時間約30分~1時間30分)。
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病室に移動。
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下肢が動き出したら歩行可能(腰椎麻酔は持続時間長く、下半身が動き出すまで約3、4時間かかります)。
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食事は当日夕または翌朝からの開始となります。
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麻酔が切れるころに鎮痛剤(点滴)をします。夕食後からは鎮痛剤などを内服。
日帰り手術 | 入院手術 | |
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手術当日 | 自宅安静。シャワー可。食事可。 | ベッド上安静。麻酔が切れた後、歩行可。 |
術後1日目 | 自宅安静。日常生活可。排便可能。 | 傷のチェック。 |
術後2日目(4日目) | 自宅安静。日常生活可。 | 退院。退院後クリニックで診察。 |
3~7日目 | 診察。仕事できる方は可能。入浴(浴槽)可。 | 術後診察。痛み半減。 |
~2週目 | 創部安定。痛み(1~2/10) | 創部安定。痛み(1~2/10) |
1か月目 | ほぼ治癒。激しい運動や旅行など可。 | ほぼ治癒。激しい運動や旅行など可。 |
※疾患や個人によって経過は変わります。
麻酔が切れた後、当日から翌2日目くらいまでが痛みが一番強くなります。3日目以降は排便時の痛みが強いです。1週間すると痛みはほぼ半減(10段階で5くらい)します。2週間経過すると痛みはほぼなくなります(10段階で1、2くらい)。痛みは疾患やその手術の大きさ・程度、年齢など個人差があります。術後は鎮痛剤を2、3種類投薬し、痛みに応じて増減します。痛みは経過で徐々になくなっていきますが、便通異常や術後日常生活状況(長時間の姿勢や食事内容など)で疼痛が悪化しますので注意が必要です。
術後2週間くらいまでは軽度の出血や付着物はあります。術後はおしりにガーゼや当てもの(ナプキンなど)をしていただきます。肛門付着物が付く期間は創部が治癒するまで、疾患によって異なります。痔核では約1か月、痔瘻では約2か月~半年、慢性裂肛で約1~2か月です。痔核などで創部を縫合し、結紮したものが10日~2週間で自然脱落するのですが、この時に一過性に出血が多くなる場合があります。痔瘻では開放手術(Lay openなど)やシートン法では創部に不良肉芽(創部汚染で発生する柔らかい肉芽腫瘤)が発生し、そこからの血の付着があります。創治癒の妨げとなる場合があり、鋭匙(耳かきのようなもの)で削る場合があります。その他は基本的には自宅で自己管理していただく必要があります。それぞれの手術後のおしりのケアや日常生活については十分に説明をいたしますので、安心して手術を受けていただきたいと思います。
便通異常が無い方でも、術後は排便時疼痛の怖さから便を我慢しがちですが、我慢しすぎると、肛門に圧がかかり、便が硬くなりすぎて肛門(創部)に負担がかかりますので、適度な硬さで排出する必要があります。術後はバナナよりやや柔らかめが理想です。硬い方は酸化マグネシウムなどを投薬しますが、元々便秘の方は術前から内服していた便秘薬などを内服していただき、状況に応じて他の便秘薬で硬さを調節することもあります。逆に下痢の方で術後排便回数が多すぎるのも逆に良くないので、便回数を改善する薬だけでなく、下痢を起こしやすい食事(辛い物や油っぽい食事、小麦製品や乳製品など)はしばらく控えていただきます。また排便時の痛みが怖いため、便を数日我慢しすぎると直腸内で便が貯留し固まり、便が出せなくなり糞詰まりの状態となります。そうなると自力では出せなくなり、おしりやおなかが張って苦しくなり緊急で病院を受診する羽目になります。そして便を出すために摘便(指で掻き出す)や浣腸を必要とする場合があります。術後、排便時に息みすぎるのはいけませんが、我慢もいけません。元々便秘の方は必ず報告してください。
食事は術後当日より可能です。毎日、排便があることが理想的で、消化が良く、脂肪や繊維質の少ないものを摂取し、術後1週間後くらいから、通常の食事に少しずつ戻していくことがよいでしょう。ただし食べすぎは良くありません。また加工食品などの添加物が多い食事、辛い物や脂っぽい食事も減らしてください。アルコールは下痢や、血流がよくなることで出血のリスクが高くなるため、2週間程度は控えていただくように御理解をいただいております。
家事・日常生活は手術当日から可能ですが、手術当日・翌日はできるだけ動き回らない方がいいです。また長時間の坐位やデスクワークも1週間まではお知りに負担がかかり腫れやすいのでお勧めできません。手術内容によりますが、術後2~3日ぐらいは自宅で安静にするほうが理想的です(実際痛みで動けない場合が多いです)。しかしどうしても仕事が休めない方はおしりに負担のかからない仕事に変えていただくようにお願いしてください。長時間の運転・デスクワーク、力仕事は約2週間控えたほうがいいでしょう。多くの場合は2週間もすれば創部の痛み・出血は安定します。遠方への旅行や出張や激しい運動は創部がほぼ治癒となる1か月後くらいしてからの方が安全です。
多くの患者様は初めての肛門の手術で大変不安なことかと思います。痛みや術後の不安があり、入院したくないけど日帰り手術は不安、または日帰り手術より入院の方が安心という方もいらっしゃると思います。それぞれについてまとめましたので参照して決めていただけたらと思います。ちなみに当院で行う手術で日帰り手術は約8割です。
日帰り手術(当院) | 入院手術(阪和記念病院) | |
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麻酔法 | 局所麻酔。静脈麻酔併用も可能。 | 腰椎麻酔。できない方は局所麻酔+静脈麻酔、または全身麻酔。 |
お勧めされる疾患 |
痔核(数が少ないもの)、スキンタグ 痔瘻(浅い痔瘻、6時方向) 慢性裂肛(狭窄が強くないもの) 肛門ポリープ |
痔核(全周性のもの、3、4か所) 痔瘻(深い痔瘻、坐骨直腸窩痔瘻、2か所以上ある痔瘻) 慢性裂肛(狭窄が強いもの) 直腸脱(腸管切除するもの)、 |
年齢 | 特にないが、中学生以下や超高齢者は入院をお勧めする。 | 中学生以下、超高齢者。 |
手術日 | 月・火・水・金・(土)の午後 *土曜日は要相談 |
手術当日午前入院、午後手術(木曜日) *疾患や遠方の方などによっては前日入院になることがあります。 |
入院 | 日帰りのため自宅安静 | 2日~7日。2泊3日(木曜日入院、土曜日退院)が多い。 |
通院 | 手術後1週間以内に受診。その後は1、2週おきに創部が治癒するまで通院。 | 退院当日に当院受診。 その後は日帰りと同様に1、2週おきの通院。 |
あらゆる面で創部が落ち着くのには術後約2週間くらいかかります。それまでは基本的には無理をしないことが大切です。こまかな疑問点は下記のQ&Aをご参照ください。
麻酔の仕方によって違いますが、日帰り手術の麻酔は主に局所麻酔で行いますが、最初の注射による痛みだけで術中の痛みを感じることはほとんどありません。ただし、麻酔の効きには個人差があるため、痛みが強い方は随時追加します。また不安が強い方は希望により静脈麻酔を追加する場合があります。また腰椎麻酔の場合は比較的深部や広範囲に及ぶ手術に行いますが、背中に針を刺すときに少し痛みますが、術中の痛みは全くありません。また術後も数時間は麻酔が効いているため、すぐに痛むことはありません。
手術当日から翌日にかけて痛みのピークがあります。その後多くの場合、日が経つにつれて楽になります。手術当日の痛みがMAX10としますと、1週間で約5/10(半分)、2週間で約1、2割程度と説明しておりますが、個人差はあります。手術内容にもよりますが、多くの痛みは約2週間もすればほとんど落ち着きます。
痛みの強さは疾患、手術方法、部位、大きさ、数、年齢、性別・不安などにより個人差があります。一般に手術部位が肛門の外側に広がる、深くて大きい、数が多い、若い人、男性、不安の強い人ほど痛みが強く出る傾向にあります。日帰り手術の場合、帰ってから痛みが出てきますので、手術の終わりに数時間効果のある麻酔薬を追加します。術後は毎食後の鎮痛剤(ロキソプロフェンなど)を内服していただきますが、夕食後から翌日朝食時間まで時間が空くため、就寝時間になると鎮痛剤が切れ痛みだすため、寝る前に鎮痛剤を追加内服すると効果的です。痛みの強い方は鎮痛剤の種類を増やす場合がありますが、多くは2週間もすれば必要でない方がほとんどです。
普通にしていただいて結構です。手術後、排便が楽にできるように緩下剤(酸化マグネシウム)を出しています。また下痢になる場合は、減らしたりして調節してください。排便時の痛みの恐怖から排便を我慢しすぎると便が直腸内で固まり出せなくなり、場合によっては摘便や浣腸をしないといけない場合があるので我慢しないようにしてください。
手術する疾患や内容にもよりますが、全体的に言えることは手術創が安定する術後2週間までは無理しないようにと説明しております。通常の日常生活は当日からできるのですが、術後3日間くらいは結構痛むので仕事のある方は無理しないようにと言っています。例えば長時間の坐位、運転、力仕事(重いものを持つ)、自転車等肛門に負担がかかることは約2週間お勧めできません。
いろいろありますが、まず気を付けていただきたいのは術後の長時間の坐位をしないことです。特に術後2、3日は長時間座ると、おしり(肛門)に圧がかかり、血流が悪くなり、腫れが悪化する場合があります。また座ることで、創部に緊張もかかるため、縫合した部位にも緊張がかかり創部が開いてしまう可能性があります。食事以外はできるだけ横になっていただくように説明しております(疾患や術式にもよる)。また食事や排便、運動、入浴については別で説明しております。
家事・日常生活は手術当日から可能ですが、手術当日・翌日はできるだけ動き回らない方がいいです。
仕事の場合は内容にもよりますが、術後2~3日ぐらいは自宅で安静にするほうが理想的です。しかしどうしても仕事が休めない方はおしりに負担のかからない仕事に変えていただくようにお願いしてください。長時間の運転・デスクワーク、力仕事は約2週間くらい控えたほうがいいでしょう。
肛門に刺激になるもの以外は基本大丈夫です。肛門の痛みを強く感じるもの(唐辛子、コショー、からし、カレー等の刺激物)はさけましょう。また油の多い食事・焼肉・フライ、牛乳など多く摂取すると下痢になりやすい方は摂取量を控えましょう。
アルコールは血管拡張を引き起こし、出血の原因となりますので、基本2週間までは禁止しております。創部が安定する術後約2週間くらいから少しずつ飲んでみてください。しかし出血や痛みが強くなるようなら控えましょう。
コーヒーは問題ありません。ただし、ミルク(牛乳)を入れる方で下痢を起こしやすい方はお勧めできません。
洗浄の水圧を弱めにして、長時間当てすぎなければ(10秒以内くらい)、使用していただいても大丈夫です。ただし、使用して出血がひどくなる場合や痛みが強い場合は中止してください。再度使用する場合はしばらく時間を空けて使用してください。
必ずしも必要ではありませんが、毎日創部は清潔を保っていただきたいため、可能であればお風呂場のシャワーで洗っていただくか、おしり拭きや携帯ウォシュレットなどでも対応可能です。
術後翌日と数日後に診察し、その後は傷の状態に応じて1、2週に1回程度の間隔で通院していただきます。診察の終了は基本的には傷が治癒するまでですが、治癒後の観察や便通異常などがありそれの治療を含め1、2か月ごとの定期診察も行います。ちなみに創部治癒の目安は疾患や個人差もありますが、痔核手術で約3か月、痔瘻の方は、単純痔瘻で2~4か月、複雑痔瘻だと半年前後かかります。
手術後の数日間は、排便時ポタポタ出血することがあります。多い人は10日前後まで続きます。また、紙についたり、ガーゼに付いたりする程度の出血や粘液の付着は2週間以降もあります。術後7-10日目に多めに出血することがあり、止血処置が必要になる方もいますが、全体の1%以下です。また痔瘻に関しては痔核や裂肛と違い治癒まで時間がかかるケースが多く、しばらく軽度の出血や粘液が続きます。
出血の原因は様々ですが、多くの場合分離結紮やGant-三輪などで結紮していた痔核や粘膜が脱落するときに一過性の出血をする場合があります。この出血は手術7~14日目くらいに起こり、多くの場合はすぐに止まります。しかし、その出血がいつまでも続いて量が多い、便のように血の塊が多量に出る、気分不良がある、冷や汗が出るなどの場合はすぐに連絡してください。
多くの場合、膿ではなく、手術創からでる浸出液です。創治癒とともに3週間ぐらいでなくなってきます。
特に痔瘻術後の場合、2、3か月創部治癒かかる方もいますので、その間は浸出液があるのでナプキンなどのパットを使用していただいた方が良いです。
入浴は肛門を清潔にし、血液の循環をよくするので、積極的に入りましょう。シャワーだけよりも、入浴がお勧めです。ただし、術後2、3日は出血しやすいのでシャワー入浴にしてください。創部にシャワーを当てても大丈夫ですが、強すぎると痛みや出血があるので注意してください。入浴剤の使用は創部がしみなければ、使用してかまいませんが、肛門を直接、石けんで洗うことは控えてください。お湯で洗うのみで大丈夫です。また長時間の入浴は出血の原因にもなりますので注意してください。
入浴自体は可能ですが、温泉など公共の入浴施設の場合、他の方も入浴されるため、創部がある程度治ってからお勧めします。痔瘻のシートン法などで長期間シートンを留置している場合で出血が無い場合は入浴しても大丈夫です。
術後約2週間以降がお勧めですが、創部は患者様によって程度が違いますので、乗ってみて痛みや出血の悪化がなければ、早く乗ってもかまいません。また創部が治癒するまでは長時間の乗車はお勧めできません。
軽い運動は術後2週間もすれば始めていいです。しかし、痛みが強い間は控えましょう。ゴルフは長時間歩いたりするため、3週間してからのほうが、安心です。水泳は公共施設のため治癒してからをお勧めします。どの運動にしても肛門に力を入れたり、こすれて刺激になるような運動は創部が安定する約2週以降がお勧めです(疾患や術式にもよる)。
緊急を要する疾患(例えば肛門周囲膿瘍、一部の血栓性外痔核)以外は基本的には妊娠・授乳期間が終わってから手術をお勧めします。理由は術後に鎮痛剤や抗生剤などの投与が必要になるためです。また授乳を一時中断して手術を希望される方がいますが、術後経過により様々な服薬が必要になる場合がありますので、完全離乳できてからの手術をお勧めしております。
項目 | 日帰り3割負担 |
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術前検査(初診、肛門鏡、血液検査、レントゲン、心電図等) | ¥5,000~6,000 |
痔核血栓摘出術 | ¥5,500前後 |
痔核結紮術(1か所、小さなもの) | ¥5,000前後 |
痔核硬化療法(ALTA) | ¥15,000前後 |
痔核根治術(LE) | ¥17,000前後 |
直腸粘膜脱形成術 | ¥25,000前後 |
直腸脱手術(腸管切除伴わない) | ¥27,000前後 |
痔瘻根治術(単純) | ¥13,000前後 |
痔瘻根治術(複雑) | ¥24,000前後 |
裂肛根治術 | ¥10,000前後 |
肛門狭窄形成術 | ¥17,000前後 |
肛門ポリープ切除 | ¥6,000前後 |
肛門周囲膿瘍切開 | ¥9,000前後 |
直腸周囲膿瘍切開(深い膿瘍) | ¥11,000前後 |
肛門尖圭コンジローマ切除(大きさによる) | ¥4,500~16,000 |
膿皮症切除(大きさによる) | ¥4,500~16,000 |