女性特有の疾患|むらやま大腸肛門クリニックおしり専門サイト|あびこ駅前の肛門外科

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女性特有の疾患

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肛門スキンタグとは?

悩んでいる女性

肛門スキンタグ(Skin Tag)とは、肛門のまわりにできる小さな皮膚のたるみや突起のことを指します。医学的には「肛門皮垂(こうもんひすい)」や「肛門周囲余剰皮膚」などとも呼ばれます。
やわらかくて痛みのない場合がほとんどですが、人によっては違和感や清潔が保ちにくいといったお悩みが生じることがあります。特に女性に多く、会陰側(前側)にできるケースがよく見られます。

発生のきっかけと原因

スキンタグのはっきりとした原因が特定できないこともありますが、以下のようなエピソードや病気が背景にある場合が多いです。

よくあるきっかけ
  • 生理前や妊娠・出産の際に腫れた
  • 便秘や下痢の後にふくらみが残った
  • 脱毛(VIO脱毛)中に気づいた・腫れた
関係する可能性のある疾患
  • 慢性裂肛
  • 血栓性外痔核
  • 直腸粘膜脱
  • 痔核手術後
  • 肛門ヘルペス(帯状疱疹を含む)

最近ではヘルペス感染による肛門の皮膚変化も増えています。

症状

スキンタグ自体は痛みや出血を伴わないことが多いですが、形成されるまでに以下のような症状を経験している場合があります。

  • 肛門の痛みや出血
  • 排便時の違和感・便が細くなる
  • 痒みや軽い炎症
  • 拭き取りにくい、清潔が保ちづらい
  • 数か月〜1年ごとに腫れや出血を繰り返す

これらの症状は、多くの場合スキンタグができる前段階の疾患のサインである可能性があります。

治療について

スキンタグは日常生活に支障がない場合は経過観察(放置)で問題ありません。しかし、以下のようなケースでは切除手術を検討します。

  • 違和感や拭きづらさが気になる
  • 腫れや出血、痛みを繰り返す
  • 美容目的(VIO脱毛前など)で除去したい

手術方法

症状の原因やタグの性状に応じて、次のような治療が選択されます。

  • 局所麻酔による切除術(当日手術可)
  • 場合によってはSSG手術などの併用治療
  • 他院では行われていない原因疾患に合わせた精密な手術対応も可能

治療後は一時的に出血や腫れが出ることがありますが、通常は数日で落ち着きます。

予防とセルフケア

スキンタグを完全に防ぐことは難しいですが、以下のような習慣が再発予防に役立ちます。

  • 便秘や下痢を避け、排便習慣を整える
  • 肛門周囲を清潔に保つ・乾燥させる
  • 強く拭きすぎない・刺激の少ないトイレットペーパーを使う
  • 長時間の座位や締めつけの強い下着を避ける

最後に

肛門スキンタグは命に関わるものではありませんが、日常の快適さや心理的な安心感に大きく関わることがあります。当院では、プライバシーに配慮した診察環境と、一人ひとりの状態に合わせた治療を心がけています。見た目や排便時の違和感など、少しでも気になることがあればお気軽にご相談ください。

肛門括約筋不全とは

肛門括約筋不全とは、肛門(おしりの穴)を締めたり緩めたりする内肛門括約筋・外肛門括約筋などが正常に機能せず、便やガスが予期せず漏れてしまう状態です。これは「便失禁」とも呼ばれ、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。

主な原因

肛門括約筋不全には主に以下の3つの原因が考えられます。

1.外傷性の要因
  • 出産(会陰切開、会陰裂傷、鉗子分娩など)
  • 手術による損傷(痔瘻手術など)
2.機能的な要因
  • 加齢による筋力低下
  • 神経障害(坐骨神経障害、糖尿病、脊椎疾患など)
  • 甲状腺機能異常、薬剤性(下剤の長期使用など)
3.先天的な要因
  • 鎖肛(生まれつき肛門が閉じている)
  • 総排泄腔(膣と肛門の出口が共通)

よく見られる症状

  • 便やガスが漏れる
  • 下着が知らない間に汚れている
  • 便意を感じても我慢できない
  • 下痢のときに漏れてしまう
  • 肛門まわりの違和感

検査と診断

症状に応じて以下のような検査を行うことがあります。

  • 肛門内圧検査:肛門の締まり具合を測定
  • 肛門エコー(超音波検査):括約筋の損傷有無や厚さを確認
  • MRI:筋肉や神経の状態を詳細に評価

治療方法

保存的治療
  • 薬物療法:便通を整える薬などを使用
  • バイオフィードバック療法:肛門や骨盤底筋の使い方を訓練
  • 骨盤底筋トレーニング:肛門体操
手術療法

保存療法で改善が見られない場合は、以下のような手術が検討されます。

  • 会陰体縫合による肛門括約筋形成術:特に出産外傷による損傷に対して有効。当院で実施しており、良好な結果が得られています。
  • 仙骨神経刺激療法(SNM):神経伝達不良による便失禁に適応。小型の刺激装置(ペースメーカーに似たもの)を体内に植え込み、仙骨神経に電気刺激を与えて症状の改善を図ります(当院では実施していないため、希望される方には専門施設をご紹介します)。

その他の関連情報

高齢者で直腸脱を長年放置していた場合、多くは肛門括約筋が緩んでいます。直腸脱の手術(Gant-Miwa法、直腸固定術)を行ってもすぐに括約筋の機能が戻らず、便漏れが続くことがあります。
このような場合、Thiersch法(ティールシュ法)といって、肛門の周囲にナイロン糸やテフロン紐などをリング状に留置する治療が行われることがありますが、

  • 異物による感染
  • 異物の露出
  • 排便困難
  • 嵌頓(直腸が出たまま戻らず、血流が悪くなる)

などの合併症があるため、当院では積極的には推奨していません。

最後に

肛門括約筋不全は、生活の質に大きな影響を与える疾患ですが、正しく診断・治療を行えば改善が期待できます。気になる症状がある方は、恥ずかしがらずにご相談ください。

直腸腟瘻

直腸腟瘻(ちょくちょうちつろう)とは、本来つながっていないはずの直腸と膣の間に異常な通り道(瘻孔)ができてしまう疾患です。この通り道を通じて、腸の中の内容物(便やガス)が腟に漏れ出てしまい、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。

主な原因

直腸腟瘻は、以下のような原因で発症することがあります。

  • 出産時の会陰や腟の損傷(特に鉗子分娩や吸引分娩)
  • 炎症性腸疾患(クローン病など)
  • 直腸や腟の手術後の合併症
  • がんの手術や放射線治療後の障害
  • 外傷や感染症による組織の損傷

症状

症状の現れ方は個人差がありますが、以下のようなものがよく見られます。

  • 腟から便やガスが出る
  • 腟からの悪臭や膿のようなおりもの
  • 陰部のかゆみや炎症
  • 排便時の違和感や不快感
  • 性交時の痛みや不快感

これらの症状は、身体的な苦痛だけでなく、精神的なつらさや社会生活への影響も大きくなることがあります。

診断

診断には、以下のような検査を行います。

  • 内診・腟鏡検査:腟内の状態を確認
  • 肛門鏡・直腸鏡検査:直腸側の瘻孔を調べる
  • 造影検査(瘻孔造影、注腟造影):瘻孔の位置や広がりを確認
  • MRIやCT検査:瘻孔の深さや周囲臓器との関係を調べる

治療方法

症状の程度や原因によって、治療法は異なります。主な治療には以下のものがあります。

保存的治療(軽度の場合)

  • 食事療法や排便コントロール
  • 抗生物質による感染のコントロール
  • 一時的に便を流さないよう人工肛門を作ることもある

手術療法(瘻孔が自然にふさがらない場合)

  • 瘻孔の切除と縫合(瘻孔閉鎖術)
  • 皮弁(筋肉や皮膚)を利用した修復術
  • 一時的人工肛門の造設(術後の回復を助けるため)

治療の選択は、患者様の全身状態、瘻孔の大きさ・部位、既往歴などをもとに、慎重に行います。

会陰体形成手術

直腸と腟の壁の間に会陰体という組織で壁を作り、瘻孔を閉鎖する方法です。
再発は極めて少なく、人工肛門を増設する必要もありません。
この手術は主に分娩時重度会陰裂傷後の直腸膣瘻に対して施行しております。

会陰体形成手術の説明

まとめ

直腸腟瘻は、日常生活の質に大きな影響を与える疾患ですが、適切な診断と治療によって改善が可能です
症状があるにもかかわらず「恥ずかしい」「我慢すれば…」と感じて受診をためらう方もいらっしゃいますが、早めの受診がスムーズな治療につながります。
当院では、プライバシーに配慮した丁寧な診察と治療を行っております。お困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。

直腸瘤(ちょくちょうりゅう)とは?

直腸瘤(ちょくちょうりゅう)とは?01

直腸瘤(ちょくちょうりゅう)とは?02

直腸瘤は、直腸の壁が一部膨らんで袋状になった状態を指します。肛門に近い直腸の一部が内側から押し出されることで起こり、排便や日常生活に影響を及ぼすことがあります。

主な原因

直腸瘤の主な原因は、直腸の支持組織や筋肉が弱くなることです。以下の要因が関係しています。

  • 加齢による筋肉や靭帯の衰え
  • 慢性的な便秘や強い力み
  • 出産による骨盤底の損傷
  • 骨盤底筋の障害や神経障害
  • 腹圧が高くなる状態(肥満、咳など)

症状

直腸瘤の症状は人によって異なりますが、主に次のようなものがあります。

  • 排便時の違和感や排便困難
  • 残便感が強い
  • 肛門周囲の不快感や痛み
  • 便が細くなる、または便漏れが起こることもある
  • 腫れや膨らみを肛門から感じる場合もある

診断方法

医師は問診や肛門鏡検査、指診(直腸診)などを行い、必要に応じて以下の検査を実施します。

  • 直腸造影検査
  • MRIや超音波検査
  • 肛門内圧検査

治療法

治療は症状の程度や患者様の生活状況により異なります。

保存療法
  • 便秘の改善(食事指導や薬物療法)
  • 骨盤底筋体操
  • 生活習慣の見直し(長時間の座位を避けるなど)
手術療法

保存療法で効果がない場合や重度の症状の場合に検討されます。
手術方法は直腸瘤の形態や合併症により異なり、以下の方法があります。

  • 直腸固定術(腹腔鏡下など)
  • 直腸切除術
  • 骨盤底修復術

当院では分娩後の重度会陰裂傷による肛門括約筋不全や直腸膣瘻の手術と同じく、骨盤底を支える靭帯・筋肉の中心である「会陰体」を縫合する会陰体形成術を行っております。

  1. ①手術方法

    直腸瘤のところには本来あるはずの括約筋の一部である会陰体が離開または脆弱化して左右に分かれております。

  2. ②手術方法

    会陰部皮膚を横切開し、直腸瘤の頭側まで直腸壁と膣壁の間を剥離し、左右に離開した会陰体を縫合していきます。

  3. ③手術方法

    会陰体を何層にも縫合し、厚みをもたせ、皮膚を閉鎖します。

  4. ④手術方法
    ⑤手術方法
    ⑥手術方法

    余剰の直腸粘膜は直腸脱手術(Gant-Miwa)の要領粘膜を刺通結紮します。
    (これは別の日にする場合があります)

予防と日常生活での注意点

  • 便秘を予防し、排便時に強くいきまない
  • バランスの良い食事と十分な水分摂取
  • 適度な運動で骨盤底筋を鍛える
  • 長時間の座りっぱなしを避ける

まとめ

直腸瘤は高齢者や便秘の方に多い疾患ですが、適切な診断と治療で症状の改善が可能です。
おしりや排便に違和感があったら、早めに専門医に相談しましょう。

骨盤臓器脱とは?

骨盤臓器脱(こつばんぞうきだつ)は、骨盤の中にある膀胱、子宮、直腸などの臓器が、本来の位置から下がり、膣や肛門の方へ突出してしまう状態を指します。特に女性に多く、生活の質に大きく影響することがあります。

主な原因

骨盤臓器脱の主な原因は、骨盤を支える筋肉や靭帯の弱化や損傷です。主な要因は以下の通りです。

  • 出産(特に難産や多産)
  • 加齢による筋肉の衰え
  • 閉経によるホルモン低下
  • 肥満や慢性的な咳、便秘などで腹圧が高くなること
  • 骨盤手術の既往

種類

骨盤臓器脱は下記のような種類に分けられます。

  • 膀胱瘤(ぼうこうりゅう):膀胱が膣側に突出する
  • 子宮脱(しきゅうだつ):子宮が膣から外に出る
  • 直腸瘤(ちょくちょうりゅう):直腸が膣側に突出する
  • 腟壁脱(ちつへきだつ):膣の壁が突出する

症状

症状の程度は様々ですが、一般的に以下のようなものがあります。

  • 下腹部や骨盤の重さや圧迫感
  • 膣や外陰部に何かが「出ている」感じがする
  • 排尿困難や頻尿、尿漏れ
  • 排便困難や便秘
  • 性交痛や性機能の低下

診断

診察では問診のほか、骨盤内の臓器の位置や脱出の程度を確認します。必要に応じて以下の検査を行います。

  • 尿検査や膀胱機能検査
  • 画像検査(MRI、超音波など)
  • 排尿・排便機能検査

治療方法

治療は症状の重さや患者様の生活状況に合わせて選択します。

保存療法
  • 骨盤底筋体操(ケーゲル体操)
  • 生活習慣改善(便秘改善、体重管理など)
  • 骨盤底支持具(ペッサリー)の使用
手術療法
  • 膣からの手術(膣式修復術)
  • 腹腔鏡下手術(骨盤臓器を元の位置に戻す固定術)
  • 腟閉鎖術(高齢者や希望者に)

生活上の注意点

  • 重い物を持ち上げることを控える
  • 便秘を予防する(食事・水分・運動)
  • 長時間の立ち仕事や座り仕事の合間に休憩を取る
  • 骨盤底筋の維持・強化を心がける

まとめ

骨盤臓器脱は放置すると日常生活の質が大きく低下しますが、早期発見・治療により症状改善が期待できます。
おしりや下腹部の違和感、脱出感を感じたら、早めに専門医にご相談ください。

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