血便・下血について ―胃腸から肛門までトータルケア―
- 2022年8月8日
- 胃腸に関すること
排便時の出血(血便・下血)は「消化器内科(内視鏡内科)」それとも「肛門科」どちらを受診すればいいのでしょうか?
正解はどちらの診療科も受診(診察)が必要です。
出血といっても肛門または腸管から出血する疾患は非常にたくさんあり、一般に「痔」や「大腸がん」と思われがちですが、一概にこれらばかりとは言えません。まして大腸がんは頻度からすると稀ですが、見逃してはいけない疾患です。肛門痛や痔の腫れがあるから大腸癌ではないだろう。痛みや腫れが無いので、痔の疾患ではないと考えるのは安直です。逆のパターンや同時に発症してる場合も大いにあります。出血原因を探るには問診で出血量や出血の色(鮮血なのか暗赤色か)、肛門痛や腹痛の有無、病状経過を確認します。そして腹部所見、直腸肛門診・直腸肛門鏡などを行います。直腸肛門に異常なければ、必要なら内視鏡検査や血液検査などを進めていきます。一般に便秘や腹痛などあれば「胃腸科」を受診し、肛門痛や脱肛・腫れなどあれば「肛門科」を受診されると思います。例えば便通異常も肛門痛もないのに血便出た場合はどちらを受診されるでしょうか?例えば憩室出血は腹痛ないことが多く、また内痔核の出血の場合も肛門痛がないことが多く、一般の方をはじめ、わたくし自身でも自分に起こったら診察してもらわないことにはわからないかもしれません。また病院に行くにしてもどちらの診療科を先に受診すればいいのかわからないですし、両方の診療科を受診するとなると総合病院となりますが、それぞれで予約受診となるとそれまた大変ですよね。
血便で消化器内科を受診すれば、肛門症状を聞かれて痔でなさそうであれば肛門を診察することはほぼなくまず大腸カメラをすることになると思われます。その後「大腸は異常がなく痔があるので肛門科受診してください。」となる場合があります。また痔の出血と思って肛門科を受診し、肛門鏡検査が行われ、痔はあるが肛門の出血かどうかわからないままとりあえず痔の軟膏を使用するも、「出血が続くため、大腸カメラを受けてください」と言われることもあると思います。
そういうわけで当院は胃腸も肛門も全部診察できるので診療に非常に適していると思います。
消化管は口、咽頭、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、直腸、肛門とすべてつながっており、それぞれで機能はやや違いますが、食物が通る道であり、それら一つでも異常をきたすと他の部位まで影響を及ぼします。例えば便秘症で悩んで受診される方で、肛門は全く症状がない方でも実際、直腸肛門を診察させていただくと、肛門狭窄や裂肛瘢痕、他に直腸粘膜の弛みや直腸瘤を認めることがあります。便秘は大腸の異常で出にくくなると思われがちですが、直腸肛門の異常が原因で便が出しにくい便秘症も意外と多いのです。当院では便秘症だからと言って、診察や検査もせずに単純に便秘薬を処方することはあまりいたしません。直腸肛門診・鏡はもちろん、腹部触診を行い、胃・大腸カメラ検査が必要であればお勧めします。ここでは便秘症について説明すると非常に長くなるので次回に説明をしたいと思います。
食べ物が入る口から肛門まですべてをトータルケアすることで快適な日常生活を過ごすことが可能となると思っております(口腔や歯に関しては歯科・口腔外科になりますが)。これらすべてをケアできる医師はなかなかいません。そこが当院の強みであると思っております。
「痔の日帰り手術」と麻酔を使った「胃カメラ」「大腸カメラ」のクリニック 医療法人村山会 『むらやま大腸肛門クリニック』
肛門外科 / 内視鏡内科 / 消化器内科 / 内科
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