血便について
- 2022年4月15日
- 内視鏡検査
血便=痔
ではありません。「そんなことはわかっている。癌の可能もあるでしょう」と思っておられるでしょうが、案外人というものは血便があっても、「少しの出血なら問題ない。おそらく痔だろう!?すぐに治まったし病院に行かなくてもいいだろう」と勝手に良い方に解釈し、放置してしまいがちです。さらに病院受診をためらう原因として、肛門を見せるのが恥ずかしくて行きたくないという方がほとんどだと思います。しかしそんなことを思っていられなくなる理由を説明します。
血便といっても血の量(便器が真っ赤、紙につく程度など)や色(鮮血 or 暗赤色)、腹部症状(腹痛、下痢・便秘)、肛門症状(肛門痛・肛門の腫れ)などの病態があり、様々な疾患で起こります。これら症状だけで病名がある程度予測できる場合もありますが、やはり出血部位を確認しないことには正確な診断はできません。また出血部位も肛門に近い部位だけでなく、さらに奥の大腸からの出血の可能性もあるので、内視鏡検査が必要になる場合もあります。健診などで行う便中潜血反応検査は便中に血が混じっていないかを検査する方法で、肉眼的に便に血が付いてるのを確認できなくても、腸の奥の方の出血病変や微量な出血を検知します。しかし、明らかに出血ある者は便潜血検査をしても意味がありません。一番注意しなければいけないのが大腸癌(直腸癌)ではありますが、血便で受診される患者の数からするとかなり少数ではあります。血便を伴う他の疾患として多いのは痔はもちろん感染性疾患(感染性腸炎、梅毒、ヘルペスなど)、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)、腫瘍性病変(大腸癌、肛門管癌、尖圭コンジローマ、パジェット病等)、大腸憩室炎、虚血性大腸炎などなど稀なものも含めれば非常にたくさんあります。また痔と言っても3大疾患である痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、痔瘻(あな痔)でありますが、それぞれ病態が違い、また同じいぼ痔でも100人いたらすべて病態が違います。また症状だけで痔と判断され肛門診察されずにかかりつけ医(内科など)で軟膏のみ処方され使用し続けている方も時々おられますが、これを続けていますと軟膏で一時的に出血や痛みがよくなってしまい、逆に軟膏が症状(出血)をマスク(隠す)してしまい、病変が進行してしまう可能性があり危険です。他人におしりを見せるのが恥ずかしくて躊躇される方が多いと思いますが、ずっとためらっているとあなたの命・QOL低下にかかわります。
これら上記の疾患を的確に判断できるのは大腸肛門専門医(中でも肛門専門領域)です。消化器内科では肛門疾患に精通されていないことが多く、逆に肛門科医は消化器・大腸疾患に精通していない場合があります。女性医師・男性医師とかにこだわらず、血便の精査は「大腸肛門専門医」の受診をお勧めします。
「痔の日帰り手術」と麻酔を使った「胃カメラ」「大腸カメラ」のクリニック 医療法人村山会 『むらやま大腸肛門クリニック』
肛門外科 / 内視鏡内科 / 消化器内科 / 内科
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