大阪市住吉区あびこ駅前の肛門外科

スキンタグについてのブログをかいて以来、受診される患者様が少し増えました。スキンタグといっても患者さんによって大きさ・形・症状など千差万別であり、受診されるからにはどうにかしたい、手術で無くしたいなど希望される方が実際多いのです。診察時には痛みや出血や腫れもなく、少し肛門の皮膚がたるんでいるくらいの場合が多く、その状態からすれば痛い思いして手術しなくてもいいのにと思うような方もおられます。また他院で切除希望したが、スキンタグなので自費診療だといわれた方もおられました。千差万別といいましたが、以前のブログ「スキンタグ(skin tag)のできる理由　－4つの原因－」で慢性裂肛や血栓性外痔核、直腸粘膜脱や術後の腫れが原因であると説明しましたが、それぞれの患者様によって多少経過の違いはありますが、中には似ているところもあります。例えば出産前後に腫れた、時々違和感や痒みがある、周期的に腫れて痛むなどがあります。それらを踏まえ最近になってもう一つできる理由がわかりました。それは帯状疱疹ヘルペスウイルス（単純ヘルペスウイルス含む）です。

他のブログで帯状疱疹ヘルペスウイルスについて説明しておりますが、実はこれが原因で外痔核の腫れをきたしている患者が多いのではないかと思われるのです。

その方々の症状の典型例では「周期的に同じ部位の痔が腫れる（年に1，2回、生理周期に合わせてなど個人によって違います）」。便通異常もきたしやすく「便が出にくい」、「残便感がある」、「詰まった感じ」「下痢をした」「便が細くなった」などの症状がある。肛門所見は主に前方（膣側）の外痔核（スキンタグ）が比較的多く、大きさはさまざまです。多くの方は妊娠前後で痔が腫れて大きくなったという方が多く、また周期的に腫れるといわれます。痛みや腫れ、違和感が強い時期では、外痔核（スキンタグ）がいつもよりやや硬く、浮腫状(edema)で、場合によっては少しびらん（かぶれ湿疹のような感じ）や粘液付着を伴う場合があります。さらに血栓を伴っていることも多く、血栓性外痔核として治療される場合も多いかもしれません。そしてスキンタグだけでなく肛門管の中は裂肛や内痔核のうっ血や発赤を伴う場合や、肛門ポリープを伴っている場合もあります。よって最初に説明した4つの原因ももしかしたらヘルペスウイルスが根本原因にあるかもしれないということです。

このヘルペスが原因ではないかと私が考えだしたのはコロナ禍で帯状疱疹が増えた影響があります（帯状疱疹ヘルペスウイルス　－帯状疱疹がコロナ禍に増加した原因－で説明しております）。帯状疱疹は皮疹などが全身のどこでもできることや皮疹以外の症状が全身のあらゆる臓器に発症することも説明しております（帯状疱疹ヘルペスウイルス　－帯状疱疹は皮膚だけの疾患ではない！－）。

またこのスキンタグを切除した術後経過で、創部が腫れ、治癒不良きたす場合があると以前のブログ「スキンタグ(skin tag)のできる理由　－4つの原因－」でも説明しましたが、その時はなぜ治癒不良になるのかははっきり分かっておりませんでした。今回その治癒不良の原因としてヘルペスが術後に発症している可能性が考えられました。私の最近の診療経験ではスキンタグ切除後に限らず、他の痔核切除や裂肛手術(SSGなど)後でも術後のびらんを伴う腫れや治癒不良を認めた患者に対し、抗ヘルペス薬を投薬したところ、通常の痔の軟膏を使用するのに比べ痛みや腫れの改善が明らかに早いです。

ただしすべてのスキンタグがヘルペスで発症しているとは判断しにくく、またそれを調べるべく検査が無いのが難点であり、確証はありません。

たかがスキンタグといわれることもあるかもしれませんが、私はそうは思いません。意を決して行きたくもない肛門科をわざわざ受診してくださった方々には誠心誠意をもって診療させていただきたいと思っております。たかがスキンタグにも原因があり、患者様それぞれで症状や大きさ、悩みも少しずつ違います。過去のエビデンスのみにとらわれず、探偵！ナイトスクープの最初の文言ではありませんが、複雑に入り組んだ医療社会に鋭いメスを入れ、様々な謎や疑問を徹底的に究明する『むらやま大腸肛門クリニック』であるよう努めていきたいと思います。ヘルペスについてはまだまだ未知の領域であり、様々な病気や免疫疾患にも関与している可能性あります。

「痔の日帰り手術」と麻酔を使った「胃カメラ」「大腸カメラ」のクリニック　医療法人村山会 『むらやま大腸肛門クリニック』

肛門外科 / 内視鏡内科 / 消化器内科 / 内科
Osaka Metro 御堂筋線「あびこ駅」1・2番出口すぐ　JR阪和線「我孫子駅」駅より徒歩9分